美濃市のうだつの上がる町並みの中にある、「松久永助紙店」創業当初からの店舗。

機械抄きによってつくられた紙糸。

古来より“水の国”と呼ばれ、なだらかな山々から長良川や板取川をつたって麓にまで清水が流れる岐阜県の美濃地方。この豊富な水と、和紙の原料となる質のよい楮(こうぞ)がたくさん採れるという環境のもと、和紙づくりが始まったのは1300年以上も前のこと。福井県の越前和紙、高知県の土佐和紙と並び「日本三大和紙」の一つとされてきた美濃和紙は、薄くて強く、ムラのない、すぐれた特性を持ち、奈良県の正倉院に所蔵されている戸籍用紙が現存するものとしては最も古く、今も古文書や絵画など、国宝級の文化財の修復にも使われています。
そんな美濃で、和紙の卸店として「松久栄助紙店」が創業したのは、明治9年。以来、伝統的な和紙だけでなく、医療和紙や仕掛け花火をはじめ、近年では和紙の糸を使った和紙靴下や和紙タオルなど、時流に合わせた特殊紙の製造も手掛けています。

「東洋繊維」では、旧型の編機と、世界最高峰と言われるイタリア製のコンピューター機、両方を適材適所に使い分け、職人たちによって細部にまで調整が施され、仕上げられていく。守られていくべき、日本ならではの繊細な技術です。